所属メンバー全員が1型糖尿病患者であるプロサイクリングチームと言われたら某チームしか頭に浮かばないのだが(笑)
研究のリンク先について
そんなチームのメンバー16名が9日間に渡るキャンプを行った際の血糖変動と食事のモニタリング結果をまとめた研究が公開されています。
そして、親切にもそちらを日本語でまとめたページがこちら↓
血糖値の評価法
研究での血糖値の評価は、下記の通り。
CGMによって把握される血糖変動の評価法として、現在、国際的に以下のような基準が用いられており、本検討でもこれに即して検討した。
TIR(Time in Range)に70%以上というのは知っていたけれど、低血糖と高血糖が2つのレベルに分けられていて、その割合も目標があるのは詳しくなかったので、今後の自分のコントロールにも当てはめていきたい。
確かに、Dexcom G4のレポートを出してもらうときに、5つの領域に分けられてた気がすると今思い出したぐらい(汗)
FreeStyleリブレだと3領域での表示だったかな...ガーディアンコネクトは...覚えてないので、またその辺りも見直そう(滝汗)
血糖値の評価
サイクリングセッション中の血糖変動は下記のように報告されている。
血糖値が目標範囲内にあった時間は69.4~85.3%の範囲に分布し、平均血糖値は140±42mg/dL、記録された最低値は46mg/dL、最高値は331mg/dLだった。
自分も現役時代は、180mg/dLぐらいからウォーミングアップを始めて、100〜150mg/dLぐらいでメインの練習ができるといいなと考えていたので、平均血糖値を見ているとそういった感覚は共通なのかなと感じた。
そして、それらを受けての評価は下記の通り。
TIRは76%だが、L2の低血糖は2%
検討の結果、血糖値が目標域にある時間「TIR」は76%で、過酷な条件下にあるにもかかわらず、通常の生活下での目標として設定されている前述の数値(70%以上)をクリアしていた。また、高血糖に関しては、レベル1が15%、レベル2が3%であり、これも一般的な目標をクリアしていた。
その一方で低血糖については、レベル1が4%、レベル2が2%であり、54mg/dL未満の低血糖の時間帯が一般的な目標を超過していた。
考察もだけど評価が厳しい...
レベル2の低血糖が、一般的な目標1%の2倍で「超過」なんて言われるのね...
私の現役時代にCGM(持続グルコース測定)で練習中の血糖変動が評価されるなんて研究がなくて良かった(笑)
結論
そして、結論は下記のようにまとめられています。
結 論
以上の結果と考察から、著者らは以下の結論を示している。
本研究は、T1DMアスリートが、9日間にわたるトレーニングキャンプ中に、大部分の時間を正常範囲内に血糖値をコントロールできることを示した。ただし、夜間の低血糖の頻度が高くなる傾向があり、そのことが翌日の低血糖のリスクに影響し、トレーニングセッション中の低血糖が増加した。
これらのデータは、T1DMエリートサイクリストの血糖最適化を通じて、運動パフォーマンスの向上の役立つ可能性のある、個別化された栄養・治療戦略の開発の基礎データとなり得る。
私としては、どの血糖値の帯域にキープすることが身体的なパフォーマンスを高めるのかなど、血糖値とパフォーマンス(自転車競技の場合は、出力で評価するのかな?)の関連性をもっと知りたいなと思いました。
※英語論文は読めてないので、書いてあったらこっそり教えて下さい(笑)
おまけ
最後に、私が好きな1型糖尿病患者によるプロサイクリングチーム「team Novo Nordisk」の動画を紹介します。
How cycling's Team Novo Nordisk turned type 1 diabetes into its 'greatest strength' - CNN Sport